「 梨の花、世にすさまじく怪しき物にして、目にちかく、はかなき文つけなどだにせず、愛敬おくれたる人の顏など見ては、たとひにいふも、實にその色よりしてあいなく見ゆるを、唐土にかぎりなき物にて、文にも作るなるを、さりともあるやうあらんとて、せめて見れば、花びらのはしに、をかしきにほひこそ、心もとなくつきためれ。楊貴妃、皇帝の御使に逢ひて泣きける顏に似せて、梨花一枝春の雨を帶びたりなどいひたるは、おぼろけならじと思ふに、猶いみじうめでたき事は類あらじと覺えたり。」
枕草子、三十四段 の有名なくだりです。そういえば、この段の最後に「あふち」の描写もあったのでしたね。
4月も6日だというのに、メスのジョウビタキがまだ居座っています。昨年も8日まで姿を見せていましたが、遥かな北の国へ帰りそびれなければよいのですが。
甲斐がねに雲こそかかれ梨の花 蕪村
梨の花すでに葉勝ちや遠みどり 富安風生
梨柵の跳ねたる枝も花盛り 松本たかし