濃紅色のシモツケの花が咲いています。平安時代から庭に植えられ、『枕草子』にも登場するバラ科の植物で、今の栃木県に当る下野の国に因んだ和名ですね。俳句では漢名の繍線菊が使われることも多いのですが、これは別種のホザキシモツケの誤用。本種の漢名は粉花粛綫菊が正しいのだそうですよ。
それはともかく、枝先の複散房花序にたくさん開く五弁の花の直径は5mmにも満たないのですが、それよりも長く伸びる雄しべが独特の雰囲気を醸し出すのですねぇ。花が開くにつれ、蕾の中に丸められていた雄しべが次第に伸びる様子は拡大写真でどうぞ!(横長の写真の場合、それをクリック)
しもつけの花びら綴ることばかり 後藤夜半
しもつけの花の頃にはいつも旅 今井つる女
繍線菊やあの世へ詫びにゆくつもり 古館曹人