山の小道をたどっていて、野生のウラシマソウを見つけました。
サトイモ科ですから仏炎苞が目立つのですが、花はミズバショウのように表からは見えず、苞の奥深いところ隠れていて、その肉穂花序の太くなった上部から細く糸状になったものが40cm〜60cm ほど伸びているのですね。この姿を「釣り糸を垂れた浦島太郎」に見立てての命名です。
面白いのが葉っぱ。植物学の用語としては「鳥足状複葉」と言うのだそうですが、一個の葉が根生し、小葉が11〜17個に分かれているのですね。写真で仏炎苞の後方上部に写っているのがそれで、太い茎のように見えているのは、茎ではなくて葉柄ですよ。
山口県などでは絶滅危惧種に指定されていますが、関東地方ではまだ多く見られるようですよ。このテンナンショウ属の仲間が世界の温暖な地方に150種ほど、日本にも25種ほどが自生しているそうです。
風音を波音と聞き浦島草 鷹羽狩行
浦島草遅日の竿を垂れんとす 伊沢崎子
ありあまる糸を垂らせり浦島草 森田峠